赤坂「sansa」の橋本さんにクラフトビールと料理のマッチングを学ぶ

Sansa-Owner-post雑誌広告の撮影場所として紹介していただいたのを機会に、最近足しげく通っている赤坂「sansa」。サービングを担当する橋本さんの人柄も相まって、ついついカウンターで長居してしまいます。 「sansa」はビアスタイルに合わせて橋本さんが考えるベストなグラス形状でビールが提供されることで有名ですが、お料理もとっても美味しいんです。

今回は、フレンチやイタリアンでのサービス経験もある橋本さんにフードマッチングを教えてもらいました。

繊細な風味を生かしたデリケートなマッチング

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最初に出されたのは、「人参のサラダ(キャロットラペ)」。合わせるビールは、ベルギーのヴァンエーケ醸造所が造るピルスナー、「サス ピルス/ヴァンエーケ(ベルギー)」。
まずは、人参のサラダを一口。白ワインビネガーで人参の自然な甘みを引き出しつつ、隠し味程度のクミンが全体をまとめています。平たい形にスライスされた人参の触感もグッド。美味しい。。。。
そこですかさず、「サス ピルス」。人参のほのかな甘味がモルトの優しい甘味と合わさって、口の中で増幅されます。最後にくるホップの爽やかな苦味が心地いい。穏やかな甘みと苦み、やわらかい酸味のハーモニーがたまりません。

力強くも爽やかな香りのマッチング

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お次は、ディルをふんだんに使った「アンチョビきゅうり」とジュニパーベリー(ねずの実)を実ごと使用した「ジュニパー ペールエール/ローグ(アメリカ)」。
ディルの清涼感がアンチョビの臭みを和らげ、うま味だけを上手に引き出しています。きゅうりの青苦さと相まって、こちらも美味しい一皿。そこに「ジュニパー ペールエール」を合わせと。。。。。。
ジェニパーベリーの松脂のハーバルな香りとディルにホップも加わって、さわやかな香りが迫ってきます。アンチョビの塩味もモルトの甘味が包み込みコクを深めてくれます。

クラフトビールを楽しむ為のフードマッチングのポイント

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「ビールで流し込む」のではなく、「ビールを引き立たせる」マッチングを探求している橋本さん。
大切にしているポイントは、苦味と酸味。ビールというと揚げ物や濃い味の料理を想像しがちですが、今回の料理を見てわかる通り、油や濃い味付けに頼ることなく、どれもハーブやスパイス(苦味)、ビネガー(酸味)を隠し味にビールの香りと調和させながらマッチングさせていました。
そんな橋本さんのこだわりが、IPAとのマッチングを伺ったとき、これまでとは一味違う、組み合わせを提案してくれました。

結局IPAはバッファローウィングやフィッシュ&チップスなのか!?

「IPAはとても個性的なビールなんですよ」とは、橋本さん。これまで色々とマッチングを考えたがどうしてもビールが勝ちすぎてしまう。やっぱりバッファローウィングやフィッシュ&チップスしか合わないのかな、と弱気の発言。ただ、一つだけ所謂料理とは違うが、IPAとのマッチングを見つけたとのこと。それがこの一皿です。

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燻事 銀座の「梅干しの燻製」と「ユニオンジャック IPA/ファイアーストーン ウォーカー(アメリカ)」のマッチング。
ユニオンジャック IPAはダブル・ドライホップによるパイナップルやシトラスの力強い香りと苦みが特徴のビール。しっかりとしたモルトの芳ばしさと甘みが奥行を出してます。
燻事は燻製を「料理」に高めた有名店。初めての梅干しの燻製。少し戸惑いながらも、梅干しを一口。上質な梅干しが持つ、柔らかな酸味ととろんとした甘味が燻製により凝縮され、香ばしさとほのかな苦味も加わりとても深い味わい。
これはいけるかも。。。。。とビールを一口。モルトのしっかりとしたコクと甘味。シトラス系の苦味のバランスがとてもいい。一緒に口に含むと、梅干しの酸味が全体を支えつつ、両方の甘味や苦味が調和して、最後にホップの香りと燻製の芳ばしさが鼻に抜ける最高のマッチング。さすが、橋本さん。

現在は、ビールとチョコレートのマッチングも探っているとの事。単にチョコレートスタウトと合わせたらいいというものでもないとは、橋本さん。これからも色々と教えてください。

Sansa
東京都港区赤坂 2-20-19 赤坂菅井ビル1F
bar time: 17:00 – 26:00 定休日: 月曜
tel: 03-3583-4200
E-mail:publicspace@beersansa.info
URL:http://beersansa.info/

聡富樫

富樫 聡[Satoru_Togashi]

シュピゲラウ・ジャパン マーケティング部

カフェブームに乗じて、インテリア・テーブルウェア業界でキャリアをスタート。 市場調査でNYに赴いた際、某「食のセレクトショップ」に出会いファインフードに目覚め、勢いでそのお店に転職。 食と食器の関係を追及すべく、現在はリーデルのグループブランド、『シュピゲラウ』のマーケティングを担当する。

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